最近は石炭紀の植物化石に興味が移ってしまい、その手のものが少しづつ増えてきた。石炭紀の化石といっても黒いものばかりではなく、白やベージュのものもある。しかし全般的に地味で、化石に興味のない人にはまったくアピールしないだろう。
まずロボク(蘆木、カラミテス Calamites)。ところどころに節のある大味な植物だ。これは現生の木賊に近いらしい。といっても、木賊というものをよく知らない私にはむしろ食材の「ふき」を連想させる。
手に入れた標本には縁にバリのようなものがあって目障りなのでこれを除去してみた。
これでいくぶんかはすっきりしたと思う。
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さて次はスティグマリア。これは担根体という訳語があるらしいが、スティグマリアという呼称の美しさには及ばない。じっさいのところ、現物を知る前に名前に惚れてしまった。
しかし現物は名前とは裏腹にかなりぶきみなものだ。生き物の目がずらりと並んでいるようにもみえる。私はこれを見て、むかし怪獣図鑑でみたガンマを思い出した。ガンマというのは体じゅうに目のある化け物である。
スティグマリア・フィコイデス(Stigmaria ficoides)
この目のような部分から根が生えだしていたというからさらに気持がわるい。
とはいっても、何億年もかけて完全に石化しているから、じっさい手に取った感じでいえば、むしろ倒錯的な美しさを放っているようにも思う。こういうものに美を感じる感性そのものが倒錯的なのかもしれないが。