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化石たちの失楽園、いな復楽園

パラドキシデス大明神いわく、わしはモロッコやロシアの新参者はきらいじゃ、なるべく目につかんところへやってもらえんかな……

むちゃをいう、と思ったが、もとより大明神のご託宣、従うよりほかない。

かくして、化石棚に一定の領地をもっていた三葉虫たちの亡命が始まった。

落ち行く先はガラスキャビネットである。ここで一定期間を過ごしたあと、それぞれの化石はオークションに出されるだろう。そしてこの家を離れ、どこかのだれかのものになるだろう。……

というわけで、一時置場に選ばれたガラスキャビネット。ところがここへ化石を置いてみると、意外にもいい感じなのである。いままでのせせこましい環境から解放された喜びを満喫しているかのようだ。

もしかしたらこのガラスキャビネットこそ化石たちの安住の地であり、わが化石棚のほうがかえって仮置場だったのではないか、と思わせるほど、めいめいがところを得たような顔をしている。

かれらは当分オークションに出されることはないだろう。そしてそれはかれらだけでなく、私にとっても嬉しいことだ。