キクロピゲの一種

前回は眼のない三葉虫について書いたから、今回は眼のある三葉虫について書こう。

巨大な複眼をもつことで知られるキクロピゲ。このたびその頭部だけの標本を手に入れた。この種はどういうわけか頭部だけ分離して産出することが多い。そして全身揃ったものとなると、今度は頭部を母岩に埋めるような姿勢で化石化していて、かんじんの眼がまったく見えなかったりする。

全身揃った眼なしの標本と、頭部だけの眼ありの標本と、どっちを選ぶかといわれれば、それはもちろん後者だ。というのも、上にも書いたように、この属の最大の特色はその巨大な複眼にあるので、それさえちゃんと保存されていれば、あとはどうあろうと二の次なのである。


Cyclopyge sp.


とはいうものの、やはり飾る、ディスプレイする段になると、頭部だけではいかにも頼りない。そこで紙粘土で胸部と尾部とを作って、頭部に連結させてみた。こういう場合、モロッコ産の三葉虫は好都合だ。もとの色が黒いので、人工的な着色が非常に楽なのである。



不本意にもフライング・フィニッシュのような形になってしまった。それとどうもプロポーションを誤ったらしく、あまりキクロピゲらしくない。しかし入手元の情報によると、これはキクロピゲ属のなかでも新種の可能性が高いらしい。新種であれば、このような形であってもよさそうな気がする。それに後ろ半分は私が造形したものだから、新種も新種、世界にひとつしかない新種だ。だれか Cyclopyge citarii と命名してくれる人はないものか。