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ボヘミアの小さい三葉虫

パラドキシデス大明神のご託宣に、いくら保存がよくても、稀少種でも、小さい化石はいかんぞ、というのがある。しかしですね、小さくても形のおもしろいものや好奇心をそそるものはいっぱいありますよ。そういうものみんなダメなんでしょうか。

大明神曰く、いや、みなとはいわん。たとえばわしの故郷のボヘミアじゃな、そこで採れたものなら小さくともOKじゃよ。

なんと身勝手な、と思うが、とりあえずボヘミア産のものについてはOKが出たようなので、ためしにふたつ手に入れてみた。

まずアウラコプレウラ・コニンキ。これは見た目はエルラチア・キンギに似ている。そっくりといってもいい。しかしエルラチアはプティコパリア目アロキストカレ科、アウラコプレウラはプロエトゥス目アウラコプレウラ科に属していて、目レベルで異なっている。いくら似ているといっても、しょせんは他人の空似にすぎないのである。


Aulacopleura konincki


Aulax が「溝」で、pleura が「肋」だ。漢字で書けば「溝肋虫」である。

これは本体が長さ1.5cmで、小さいといってもまずこれくらいなら満足できそうだ。産地はチェコのロジェニツェにあるモトル累層。インツェ累層の母岩よりも明るい色で、ざらっとした手触りの、軽い石だ。

あとどうでもいいことだが、この三葉虫を見ていると、なぜか児玉とか児島という姓を連想してしまう。顔のつくりが「児」という字に似ているのだろうか?

     * * *

次はアカンタロミナ・ミヌータ。これはリカス目オドントプレウラ科に属する三葉虫で、今回手に入れたのはネガ、つまり外骨格の内側が表に出ているものだ。


Acanthalomina minuta


これが長さ1cmジャストで、これくらい小さければネガもポジもたいして変るまい、と思って買ったのだが、やはりネガはネガで、どうも迫ってくる力に欠けている。まあこの小ささではたとえポジであったとしても迫ってくるものがあったかどうか疑わしいが。

ルーペで見ると、いかにもオドントプレウラ科らしい棘が随所に確認できる。また肋の上にはぶつぶつした突起が並んでいるのもよく分る(ネガだから突起ではなくて突起の痕、つまり穿孔だが)。