Dig them!

リチャード・フォーティの「生命40億年全史」を読んでいたら、「わが最愛なる三葉虫」というフレーズが出てきて思わず吹き出した。原文では my dearest trilobites だろうか。私も三葉虫愛好家の端くれとして、「わが愛する」とか「わが愛しの」くらいはいえるが、さすがに「最愛の」とはいえないなあ。

だいたい、化石愛好家で本まで出すような人は、成果はともかくとして、みんな自分でも化石を掘ってるんですよね。もちろんフォーティも例外ではない。やっぱりそういう体験がないと、ほんとのところは分らないし、真に愛しているかどうかも不明だ。だから私のように売ってるものを買ってくるだけの人間はどうも肩身が狭い。「愛する」とはいえても「最愛の」とはいえない所以である。

英語で dig といえば「掘る」だが、アメリカでは「わかる」とか「好む」とかいう意味でも使う。化石の場合はまさに掘ることが理解することや愛することに直結している。dig の三つの意味が円環をなしつつ調和しているような、そういう体験もせずに化石を語るとは片腹痛いと思われてもしかたがない。

涼しくなったらどこかへ化石掘りに出かけますかね。


(付記、8月12日)
本文とは関係ないけれども、下のコメントのつづきのようなもの。Deiphon forbesi の顔線の様子がよく分る画像を Joachim Barrande の本から抜き出してみた。参考にしていただれば幸いです。


頭部のみを横から見たところ。眼を横切るように顔線が走っている


眼の部分の拡大図


Deiphon forbesi の全身図。下に描かれているのは胸節部分の拡大


(付記2、9月1日)

John William Salter の書 "A Monograph of British Trilobites"(1883) より