読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

こんな三葉虫は嫌だ

次から次へと売りに出される三葉虫の化石。目新しいものならなんでも、という餓鬼道に陥ったような人はともかくとして、ふつうのコレクターの場合、なんらかの選別と排除の手段を講じないと、お金がいくらあっても足りなくなりますよね。

私はといえば、自分なりに「忌避する化石タイプ」をもうけて、これらに該当するような標本は見すごすことにしています。どんなに欲しい種類のものでも、こういうタイプの化石なら買わない、という基準みたいなものです。


1.眼のあるものは眼がちゃんとしてなきゃ嫌だ

必ずしも複眼の保存がどうのとはいいません。ぱっと見て、ああこれは眼だな、と分ればいいんです。残念な例をあげれば、たとえばモロッコで多産するディアカリメネ。あれも眼さえちゃんとしてればけっこう好きなんですがねえ。

2.折れ曲ったり反り返ったりしてるのは嫌だ

エビみたいに体を曲げていたり、お城のシャチホコみたいに反ったのはそれだけで却下です。もっとも、三葉虫は生きているあいだはやや体を曲げて、エビみたいな格好で暮していたという説もあります。それからすれば、まっすぐなのはかえって不自然なのかも。

3.防御姿勢のは嫌だ

上と関連しますが、完全に丸まったものやコンパクトみたいに二つ折になっているものもダメですね。つい好奇心で買ってしまったフレキシカリメネ、何度ヤフオクへ出そうと思ったことか……

3.あちこち分断されてるのは嫌だ

これは脱皮殻の化石に多い。いかにも脱ぎ散らかしましたといった感じのものや、破れた提灯みたいになったものなど。こんなのならいっそ部分化石のほうがいい。

4.捕食痕のあるのは嫌だ

捕食痕というのは他の生物にかじられた痕のことで、コレクターのなかにはこれがあるのを無上に珍重する向きもあるようだが、私はごめんだね。

5.頭鞍がつぶれてるのは嫌だ

頭鞍というのは三葉虫の体のなかではいちばん盛りあがってる部分で、それゆえに(?)つぶれやすい部分だともいえる。ここに圧力が加わって、下にあるハイポストマ(唇)のかたちが頭鞍に刻印されているようなものもある。どっちにしても私にはアウトだ。頭のぺったんこなスフェロコリフェの残念さを思いみよ。

6.自在頬の外れてるのは嫌だ

自在頬は、人間でいえば頭髪にあたる。これがないのは、つまりハゲといっしょだ。もちろんハゲてもかっこいい人がいるように、自在頬がなくてもかっこいい種類もあります。パラドキシデスとかセレノペルティスとか。しかしそれらはやはり例外ですね。

7.フライングフィニッシュは嫌だ

この仕上げのせいでせっかくの化石標本がみやげ物レベルにまで堕しているように感じるのは私ばかりでしょうか。

8.とげとげのすごいのは嫌だ

コムラとかコネプルシアとか、見ているだけではらはらする。一本でも折れたら標本としての価値がなくなりそうでこわい。ああいうものは私みたいに標本の扱いの雑なものには鬼門中の鬼門です。