アンフィトリオン・ラディアンス

アンフィトリオンという名前に馴染みがない人も、レモプレウリデスと聞けば「ああ、あれか」と思い当るのではないか。レモプレウリデスはロシア産の稀少な三葉虫で、私などには手の届かない価格帯に位置している。そのレモプレウリデスのボヘミア版がアンフィトリオンで、その部分化石なら私にも入手可能だ。

というわけで手に入れたアンフィトリオン・ラディアンス。第四胸節以下は失われているが、だいたいの感じをつかむには十分だ。


Amphitryon radians


ルーペで拡大してみると、頭部のつくりがなんとなく映画のプレデターを彷彿させる。頭鞍を囲むようについている長くて半円形をした眼は、この標本では平たく押しつぶされているが、本来はもっと厚みがあったはずである。

バランドの本にはその全体図と横から見た頭鞍とが出ている。この眼を見るかぎり、アンフィトリオン(レモプレウリデス)がキクロピゲに近い種類であることは明瞭だ。



この図と照らし合わせると、私の手に入れた個体の本来の長さは3.5cmほどで、まずまずの大きさだったことがわかる。


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ミラン・シュナイドルという人の書いた「ボヘミアの三葉虫」によれば、アンフィトリオンはバランディア地区(すなわちボヘミア中央)の全域で多産するらしいが、なぜかまともな標本は少ないようで、本書に出ている標本もあまり決定的という感じがしない。



ちなみにこの本ではなぜか Amphytrion という表記になっている(yとiが入れ替っている)。