ミラスピス・ミラ

レヴィ=セッティによって「もっともフォトジェニックな三葉虫」と折り紙をつけられたミラスピス・ミラ。しかしこれは裏を返せば写真に撮らないとそのすごさが分らない三葉虫ということでもある。というのも、大きさが2cmそこそこしかないので、細かいところは目で見ただけではよく分らないのだ。

拡大写真を見てすごいと思い、じっさいに購入したところ意外にしょぼくてがっかりした、という経験は私にもある。このミラスピスにもその嫌いがなくはないか。しかしまあ小さいなら小さいでいい。とにかく一度は現物を見てみたい、と思わせる種である。どこか売っているところはないかと機会をうかがっていた。

しかしその機会がなかなかないのである。完全体での産出がきわめて稀だからで、すでに出るだけのものは出つくして、どこかのだれかのキャビネットに納まっているのが現状ではないかと思われる。

もっとも、完全体でない、部分化石ならば今でも入手可能だ。今回私が手に入れたのもその部類で、首から下だけが残ったもの。


Miraspis mira


残った部分の保存状態もそれほどよくはないが、この種の特徴はこれでじゅうぶんうかがえる。二重になった棘の小さいほう(下にあるほう)にさらに細かい棘が生えているのが見えるだろう。これが立体的にどうなっているかといえば、モロッコで採れるコネプルシアの標本を見ればわかる。


バランド先生の図版に重ねて写してみた。



ところで、これのほぼ完全体の標本(サイズは2cm弱)が意外なところに出ていたので、値段をきいてみたら、1200ユーロで買ったとのことだった。当時のレートで14万円、今のレートでいえば18万円に近い。

ほぼ完全体、と変な言い方をしたのは、その標本には眼がついていないからで、真の完全体では細長い眼が左右に飛び出ているのである。上の画像の左上の図版を参照。

ミラスピス・ミラのミラというのはラテン語で「驚くべき、驚異的な」という意味だが、値段のほうも驚異的である。

ちなみに私に買った部分化石は25ドルだった。部分化石と(ほぼ)完全体とでこうも値段が違うのも珍しい。