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アカントピゲ始末記

今年の9月にヤフオクで手に入れたアカントピゲ。まず売り手の言い分を聞こう。

「モロッコ産の大変珍しいAcanthopyge種の三葉虫です。 産出量は殆どなく大変希少です。 胸甲が修復不可能なほど破損しておりました箇所がありましたので、胸甲の一部は樹脂にて修復されているとの事です。 又、見当たらなかった部位は、他のAcanthopyge種から持ってきて修復がなされております。 但し修復部は全体の10%以内であるとのこと。 一般的に言ってモロッコ産Acanthopyge種は、その75%が修復過程を経なければならない状態で発見されており、触手・髭・足・棘など立体的に削りだしされている固体は殆ど全て修復過程を経て市場に導入されております。 修復過程としては、触手・棘などは一旦、本体胴部から切り離し削り出しをし、本体部をクリーニングしてから改めて接着剤を使い正確に元に戻し復元するそうです。 細かく割れた部分で、修復不可能な部位は、樹脂などを使い再現されます。
出品現品のAcanthopyge種は、市場を見渡してもなく、Restoration:0%の個体で$5700.00($/100円で57万円)の値が付いてた非常に珍しい種です」

原出品者のサハラ・インポーツの説明とは微妙に違っているが、要するに胸部に10パーセント以下の修復ありとのことらしい。

下の画像のものが当該アカントピゲ。



ところで、これをルーペで調べてみても、いったいどこが修復されているのか、よく分らないのである。なぜかといえば、表面の質感が塗装のために均一になっていて、傷らしい傷を見つけることができないのだ。

そこでアセトンを使って塗装をはがすことにきめた。ある人のアドバイスに従って、綿棒を使って少しづつはがしていったが、ある一定のところまでくると、それ以上はどんなにこすってみても塗装が落ちない。ぎりぎりまで塗装をはがしたのが下の画像のものだ。



写真ではある程度きれいに見えるかもしれないが、実物ははげちょろけのネズミみたいになってしまった。修復ありという胸部の色はアセトンでは落ちない。ということは、この部分はまるまる作り物で、もとから黒い材質のものを使っている可能性がある。塗装の落ちた部分は化石というよりたんなる石にみえる。塗装の落ちない部分も、外殻という感じではなく、塗料が落ちずにそのまま残っているという感じ。

ただ、頭部と尾部が完全な作り物か、といわれれば答えに窮する。もしかしたら、10パーセントくらいはほんものの化石もまざっているかもしれないからだ。

というわけで、塗装を落としてもどんなふうに作りこまれているのかはよく分らなかった。このうえは縦に(最近おぼえた言葉でいえば sagittal に)両断するしかないが、そこまでしようとは思わない。ともかく、この化石(と呼ぶのもはばかられるが)の修復率が90パーセント以上であることだけは間違いない。

検証が中途半端に終ってしまったので、もう一度墨汁を塗って体裁を整えておいた。そうでないと、とてもがまんのできる状態ではないからだ、今後も手元に置くにしろ、ヤフオクで売りに出すにしろ。



一枚目の画像と比べてみると、化けの皮をはがしたぶん、こっちのほうが上物に見えはしないだろうか。

しばらくはもとのキャビネットにしまっておこうと思うが、おそらくそのうちヤフオクに出すことになるだろう。