ノビリアサフス・ノビリス

今年最初の買い物がこれ。名前はノビリアサフス・ノビリスで合っていると思うが、バランドの本に出ているボヘミア産のものとはあまり似ていない。むしろモロッコ産のアサフェルスによく似ている。


Nobiliasaphus nobilis


これはポルトガルのヴァロンゴ層(オルドビス系)で採れたもので、そこからは百種類もの三葉虫が産出しているらしい*1。この産地の三葉虫には共通の特色があって、縦、横、斜めのいずれかに引き延ばされたり縮められたりしている。今回のノビリアサフスは斜め方向に変形していて、まるで自然がつくったアナモルフォーズのようだ*2

母石は表面が蝋引きのような感じになっていて、グレーを基調に褐色の染みを散らしたところがシックだ。母石というのは、絵画でいえば背景や額縁に相当するもので、なるべくなら本体と調和したものが望ましい。その点では今回のものはいままで買ったもののうちでもベストに近い。

本体はといえば、白っぽいのが斜めに飛んでいて、お化けか幽霊みたいにみえる。まあ、お化けといっても ghost や wraith なんていう怖いものではなくて、オバQとかドロンパとか、そういった感じのものだから、全体の雰囲気はどこまでも牧歌的だ。

バランドのノビリアサフスの図で印象的だった外殻上の装飾(尾板に描かれた放物線状の曲線と、尾板中軸のV字型の突起(?))はこのポルトガル産の標本では明瞭でない。これらの確認できないノビリアサフスはノビリアサフスにあらず、といいたいほど特徴的な装飾なんだが……

東大のクランツ標本にもノビリアサフスは入っている。下の画像に示すのがそれだ。産地はボヘミアのようだが、手書きのラベルの文字を判読するのは日本人にはむつかしいらしく、文字に起こされたものもあまり信用できない(名前からして Asaphus nobilis が Asbplus nobilio となっている)。



去年は11月に英国からオギギオカレラが、年末にアメリカからイソテルスが届き、今年になってポルトガルからノビリアサフスが届いて、アサフス類が三つ揃ったことになる。しばらくはこの三つで満足することにしよう。


*1:代表的なのはエオダルマニティナ

*2:アナモルフォーズの例をあげれば、ホルバインの「大使たち」の前面に描かれた謎の物体など