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コノコリフェについて

コノコリフェに関心のある人はどれほどいるのだろうか。世界的にみてもそう多くはないだろう。そもそもコノコリフェを知っている人がどれだけいるか。ためしに道行く人々をつかまえて「コノコリフェってご存じですか?」と訊いてみるがよい。百人が百人とも「知りません」と答えるだろう。

というわけで、三葉虫愛好家のうちでさえあまり人気のなさそうな種類について書いてもしかたないんじゃないか、という気もするが、いつの日か「コノコリフェ 種類 違い」で検索してくる奇特な人もいるかもしれないから、いちおう知りえた情報だけ記しておく。

コノコリフェについては前の日記(→眼のない三葉虫の眼 - ファコプスの館 -La Maison de Phacops)に少し書いた。あれはズルツェリ(C. sulzeri)という種類のものだったが、今回手に入れたのはキリナ(C. cirina)という種類のもので、上半分だけのネガである。



これの興味深い点は、頭部のみならず側葉にまで粒々の痕跡が見られることだ。また中軸にはかなり深い孔があいていて、これを見るかぎり、キリナという種類は全身が顆粒に覆われ、背中には棘が並んでいたとしか思えない。こんな特徴のよく出たポジの標本があれば見てみたいが、私はいまだかつて背中に棘の生えたコノコリフェを見たことがないのである。……

ネガはポジと比べて人気がない。それは当然だが、外殻上の装飾に関するかぎり、ネガはポジよりもその痕跡をはっきり残す傾向があるらしいことを付け加えておこう。ネガはけっしてポジのたんなる鋳型ではないのである。

ところでコノコリフェにはズルツェリやキリナ以外にもかなり多くの種類があって蒐集家をまごつかせる。画像を見ただけではどこがどう違うのかよく分らないのだ。ネット上で見つけた情報をかいつまんで述べれば──


     * * *


まずコノコリフェ・アトランタ(C. atlanta)。これは独立した種というより、ズルツェリの亜種とみたほうがいいようだ。そしてズルツェリとの違いはネガを見ないと分らないらしい。つまりそこに粒々の微妙な違いが出ているというのだが、ポジ側に反映されない違いというのも奇妙なものだ。

次はコノコリフェ・キリナ(C. cirina)。これも独立した種というよりズルツェリの亜種とみたほうがよい、と情報提供者はいうのだが、少なくとも今回買った標本をみるかぎり、両者は別物であると主張したい。そこには層序学的差異というだけでは説明のつかないほど明確な違いが確認できるのだから。

次はコノコリフェ・ゲルリンダ(C. gerlinda)。これはスクリイェ(Skryje)界隈でのみ採れるらしく、頭部との比較において尾部が大きいという特徴がある。ゲルリンダは稀少種で、完全体ではまず出ないそうだ。そして eBay その他でゲルリンダの名前で売られているのはほとんどがレイコヴィツェもしくはインツェで採取されたキリナだそうである。どちらも黄色っぽい色で産出するので間違われやすいとのこと。

次はコノコリフェ・ロブスタ(C. robusta)。これはコノコリフェ・オヴァタ(C. ovata)のシノニムらしい。そしてどちらもフランスで産するコノコリフェ・ラングドケンシス(C. languedocensis)と同一種であるとのこと。

次はコノコリフェ・ハヴリチェキ(C. havliceki)。これは稀少種であり、固定頬上にはっきりと浮き出た突起(すなわち眼!)がある。

次はコノコリフェ・グラヌラタ(C. granulata)。これはコノコリフェではなくてバイリエラ(Bailiella)もしくはパラバイリエラ(Parabailiella)の一種である。自在頬が頭部の上のほうに位置していて、頭部そのものもコノコリフェのものほど丸くない。頭鞍前部の形も少し違っている。

以上、産地別にみると、

インツェ界隈で出るもの

  • C. sulzeri sulzeri
  • C. sulzeri atlanta
  • C. cirina
  • C. havliceki
  • C. robusta (=ovata)

スクリイェ界隈で出るもの

  • C. sulzeri atlanta
  • C. gerlinda
  • C. granulata (=Bailiella granulata)

となる。


参考サイト:TRILOBITA.DE | Identifikation / Identification | Conocoryphe Czech