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エクティレヌス・カッツェリ

この前買ったポルトガル産につづいて、今度はボヘミア産のエクティレヌスを手に入れた*1。体の前半部だけの部分化石で、人間でいえば胸像に相当する。胸像が美的価値をもつなら、三葉虫の前半部も同様ではないか、と思って購入したのだが……


Ectillaenus giganteus & Ectillaenus katzeri


こうしてみると、やはりボヘミア産の三葉虫には独特の風格があると思わざるをえない。ポルトガル産のものがシックだとすると、こっちは崇高とでもいえばいいか。崇高といっても気高いとかそういう意味ではなくて、十八世紀ヨーロッパ美学でいうところの「崇高(the sublime)」に近いといえば分ってもらえるだろうか。三葉虫を相手に崇高とはちゃんちゃらおかしい、といわれればそれまでだが。

この標本には外殻が残っていて、頭部のみならず胸節にまでいくつも皺のような条が走っている。エクティレヌスもパラレユルスのようなしわしわ三葉虫だったのだろうか。たしかにどっちもイレヌス上科に属するから、近縁種とみなしていいだろう。このタイプは泥に体をうずめて生きていたらしく、この皺々が泥の中で体を安定させるのに役立った、という説がある。


胸節部分の拡大

*1:オルドビス紀中期、シャールカ層、ミート