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クテノケファルス・コロナトゥス

チェコのスクリイェ界隈から出るカンブリア紀中期の三葉虫だが、層序データをみると「ブハヴァ層」と書いてある。そんなものがあるのか、と思って調べてみたら、たしかにスクリイェを横切るかたちでカンブリア紀の地層が細々と斜めに延びていて、インツェを中心とする南側の広いカンブリア系から孤立している。

こうしてみると、ボヘミアにはインツェ層以外にもうひとつ中部カンブリア系の地層があることになるが、まあそれはそれとして、今回の標本はたしかにいままで手に入れたボヘミア三葉虫とは色合いも質感もはっきり異なっている。


Ctenocephalus coronatus (Barrande 1846)
Middle Cambrian, drumian
Buchava Formation
Skryje, Czech republic


全体の感じは小さい、貧相なコノコリフェといったところだ。コノコリフェには頭部に粒々のあるタイプとないタイプとがあるが、このクテノケファルスも同様で、バランドの図版集にあるものや、プラハの博物館のタイプ標本にははっきりと顆粒が認められる。

フランスのエロー県で産出したクテノケファルスの標本は頭部だけの部分化石だが、粒々が頭部を覆いつくしていて異様な眺めだ。レヴィ=セッティの「三葉虫」には、ニューファンドランド産の、やはり頭部が顆粒で覆われたタイプの標本の写真が出ている。


Ctenocephalus bergeroni
Cambrien moyen de Coulouma, Hérault, France


このように同じような種類の化石がほうぼうから出るのは、カンブリア紀には今のヨーロッパ、アメリカ、シベリアなどが同じ区域にまとまっていたからで、そのころの地球の陸や海の位置はもちろん今とはまったく異なっていた。地質年代における地球の変化がよくわかるページがあるので紹介しておこう(→Global Paleogeography)。

これらは個別に見ているだけでは変化の様子がわかりにくいので、それぞれの地図をダウンロードして年代順に並べ、名前をつけてみた。興味のあるひとはこちらからダウンロード→解凍してビューアーで見て欲しい。陸地がくっついたり離れたりする様子が手に取るようにわかるだろう。