エッカパラドキシデスの一種

エッカパラドキシデスはプシルス(pusillus)という種がボヘミアで産出する。けっこういいものが出ているようだが、どうも割高感があって手を出しにくい。そんなおり、スペイン産のお手ごろ価格のものが目についたので買ってみた。スペイン産のカンブリア紀の標本というのが私には物珍しいので、とくに本種にこだわるつもりはなかったのだが……

手に入れたものを見て、これは、と久しぶりに唸ってしまった。なんというシャビーな標本だろう。私がエカパラ(と略す、長いので)において重視するのは、大きな眼が確認できること、自在頬が揃っていること、大きさがそこそこ(4~5cm)であること、フリル状に広がった肋棘が保存されていることなどだが、この標本はそれらの条件を(完璧にではないにしても)じゅうぶんに満たしている。買ってしばらくのあいだは食卓において、食事をしながら眺めていた。


Eccaparadoxides sp.


ところで本種は「エカパラの一種」とあるのみだが、ほんとに未定種なのだろうか。まず産地がよく分らない。サラゴサ県にある歴史的産地*1としか書いていない。こういうのは困るなあ……まあアマチュアにとっては同定も楽しみのひとつなので、本種をもとにして少しづつ調べていこう。

ところでこの標本はうちにあるオレネルス・ギルベルティによく似ている。ふたつ並べてみると、エカパラの肋棘はトゲというよりふんわり広がった房のようで、これらが癒合して尾板を形成すればスクテルム類やある種のアサフス類(オギギオカレラやノビリアサフス)にも似てくるのではないか、と思われる。


Eccaparadoxides & Olenellus gilberti


じっさいのところ、頭部とほぼ同じ幅をもつ後胸部のおかげで(?)この種類は完全な防御姿勢を取れたらしく、コンパクトのように二つ折れになった化石が見つかっている。カンブリア紀三葉虫は一般的に屈曲能力に欠けているという説があるけれども、すべての種類がそうだったわけではない。有名なエルラチア・キンギなどもすでにこの手の特技を身につけていたようだ。


     * * *


さて、本種の入手をきっかけに、化石棚を掃除・整理してみた。とくに下段は2年近くほったらかしだったので、埃がすごい。ブラシで埃を落としてやると、鉱物類は生き返ったように輝きだした。新着のエカパラを置いたら、上下段とももうこれ以上は動かしようもないので、これをもって化石棚のいちおうの完成としたい。ここからはみ出したものや、今後購入するものについてはべつに置場を用意しよう。







*1:おそらくモンカヨ山地(Sierra del Moncayo)だと思われる。2016/12/05 追記