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ヘリオリテスの一種

ここ半年ほどのあいだにゴトランド産のサンゴ類の化石をいくつか手に入れたので、それらについて少し書いておこう。

まず最初に手に入れたのがヘリオリテス(Heliolites)というもの。これは「太陽の石」という意味で、日本では日石サンゴと呼ばれているらしい。保育社の「原色化石図鑑」には、「日石サンゴ類は日本のデボン系からも多産し、種類も多いけれども、あまり研究されていない」とある。ちなみにシルル・デボン紀のころの日本は、赤道のやや上あたりの、亜熱帯的な気候帯に属していた。




ヘリオリテスはゴトランドではもっともありふれた化石で、種類も100以上に及ぶという。やや青みをおびた灰白色の石灰岩(泥灰岩 marlstone というらしい)を母岩としていて、横には裏返しになった三葉虫の頭部の先らしきものが見える。

表面にある丸い穴がサンゴ虫の棲みかで、この内部には縦方向に隔壁(septa)が、横方向に床板(tabulae)が並んでいる。サンゴ虫は床板で仕切られたいちばん上の部分に棲み、放射状の触手を延ばして餌をとっていた。

サンゴというのは三葉虫アンモナイトと比べてその体制がわかりにくい。私もまだまだサンゴの実態がどんなものかわかっていない。とりあえず化石種についてだけでもだいたいのところは押さえておきたいと思って、小林貞一を著者代表とする朝倉書店の「古生物学」をひもといてみたが──

いやはや、とてもじゃないが一回読んだくらいでは理解するのはむりだ。記述が込み入っている以上に、執筆者(江口元起)の文章に癖があって、内容がすんなりと頭に入ってこないのである。

「(腔腸動物は)いずれも腔腸といわれる体腔と消化器その他の分化しない内腔を囲んで、内外2層の細胞列及び中膠質または間充組織である中間層よりなる体壁がある」(p.56)

いったい何がどうなっているのか、わかる方おられます?

そういっても、この超硬派の古生物学本はけっこう気に入っている。やっぱり「学」というからにはこのくらい四角四面じゃないとダメだよな、と思う。もともとは小林貞一の三葉虫についての記述が読みたくて買ったものだが、この時代(昭和29年)にすでにバージェス頁岩動物群に言及しているあたりはさすがだ。