パレオキクルス・ポルピトゥス

サンゴは群体をつくるものと、単独で生活するものとに分けられる。今回採り上げるのは後者に属するもので、その平たく丸い形状からボタンコーラルと呼ばれている。



正式には Palaeocyclus porpitus という名前がついているが、これら九つの標本を見ても、セプタ(隔壁)の形態には少なくとも二種類あるようで、中心が一点にすぼまったもの、コケムシが付着しているものなど、状態のほうもさまざまである。サイズはいちばん大きいもので13mm程度。

本種は下部ヴィスヴュー層すなわちゴトランド島の最古層でのみ産し(ただしその数は多い)、ランドベリー世(シルル紀の最初期)の示準化石として有効とのことだが……まあ大方の人にとってはどうでもいいことだろう。

ついでに書いておけば、シルル紀というのは時代をあらわし、シルル系といえばその時代(つまりシルル紀)の地層をあらわす。同様にランドベリー世はシルル紀の最初の四分の一を、ランドベリー統はシルル系の最下層をあらわしている。

そういえば、岩波文庫の「種の起原」の翻訳者はシルル紀のことをシルリア紀と表記している。これはしかしある意味で理にかなっていて、カンブリアンがカンブリア紀ならばシルリアンはシルリア紀となるだろう。もっともこれを推し進めると、デボン紀はデボニア紀、ペルム紀はペルミア紀になってしまうが……

標本に話を戻すと、私はこれらを眺めながら、どうも……に似ているな、と思った。そして、アンモナイトが菊石もしくは菊面石と呼ばれるならば、こっちは菊座石もしくは菊門石と呼ばれてしかるべきではないか、と変なことを考えた。