ストロマトポラ

ストロマトポラはストロマトライト、ことにモロッコ産のそれに形が似ているが、もちろんまったくの別物で、現在ではスポンジの仲間に分類されている生物の化石である。ゴトランドでは多産し、土地の人々から「猫のしゃれこうべ(CATSKULL)」と呼ばれているらしい。和名は層孔虫(stromato 層 + pora 孔)。


Stromatopora


シルル紀における重要な造礁生物のひとつで、その化石が硬くて緻密なため、ストロマトポラが主体になった礁石灰岩は他の石灰岩よりも風化しにくいという特質をもっているらしい。化石種はもっぱら浅海に棲んでいたが、これの末裔がいまでも生きていて、それらは水深100メートルより深いところにある真っ暗な洞穴や断崖に棲んでいるというから驚きだ。形ももちろん今ではずいぶん違っているだろう。

造礁生物はおおむねそうだが、本種も土砂に埋もれてしまうのを避けるために上へ上へと成長をつづけてゆく。それで結果的に、ヘルメットをいくつも重ねたような構造になる。ストロマトポラの本体すなわち軟体部は、そのヘルメットのいちばん上層にある小さい孔に入っている。孔とはべつに細かい条(astrorhizae)が走っていることもあるが、これは軟体部の導管の痕とのこと(ただし異説もある)。

この標本の薄汚くみえる部分は母岩の滓が付着しているわけではなく、それらはコケムシであったり、ルゴササンゴであったり、クサリサンゴであったりする。




このコケムシというやつはどこにでも現れる生き物で、なにか足場があるとすぐその上にのって群体を形成しはじめる。私が最初に買った、そしていまのところ唯一のコケムシの化石は、アメリカのケンタッキー州の上部オルドビス系から出たもので、Escharopora falciformis という名前のもの。falciformis とは「刀の形をした」の意。