ロベルギア・デッケリ

米国オクラホマ州マレー郡のヴィオラ層(オルドビス紀後期)から出たもの。カンブリア紀の生き残りのような姿をしているが、じつはレモプレウリデスの仲間らしい。尾板の形が独特で、それだけでも私には魅力的だが、片方だけとはいえ自在頬がついているのはありがたい。というのも、そこには genal caeca がはっきりと認められるからで、この消化器官とも呼吸器官とも推定される皺々がまた私には魅力的なのである。この皺々はプティコパリア科の三葉虫にはよく見られるもので、Ptychoparia の ptyx(褶)というのは、もともとこの genal caeca を指している。Genal caeca には今のところきまった訳語がないようなので、暫定的に「頬上盲管叢」という訳語をあてておこう(余計にわかりにくい?)。


Robergia deckeri


本種はレモプレウリデス科に分類されているが、この科の特徴であるところの、頭鞍を取り囲むような大きな眼はもっていない。その眼はむしろ小さく、レドリキア目のものによく似ている。この小さい眼のゆえに(?)、本種をロベルギア属から外して新たな属*1を建てようという意見もあるようだが、私はあまり属をふやす方向には賛成できないので、従来どおりロベルギア・デッケリでいいと思う。

さて今回の標本、私は最初から気に入って、机の上に置いて眺めていた。しかしもちろん気になる点がないわけではない。たとえばその色だ。白い三葉虫ということでは、うちにもミラスピスやアウラコプレウラがあるけれども、それらの白さとロベルギアの白さとでは質が違う。ロベルギアのほうはなんというか塗装したような質感なのである。

この点を購入元に問い合せてみたところ、「私の知るかぎり塗装はされてません」とのことだった。「私の知るかぎり……」うーん、まあそれはそうでしょうけど、これじゃ答えになってませんよね。

まあ本種の場合、塗装の事実があったとしてもそれで化石の価値が下がるようなことはないと思うし、もしこれがほんとに塗装されてなくて、自然のままでこのような色になっているのだったら、それはそれで驚くべきことだ。

*1:Pugilator