ケラウルス・プレウレキサンテムス

今年最初のヤフオクでの買い物がこれだが、現物を見たときは驚いた。これがあのケラウルスだろうか。まるでパラドキシデスのような凄みではないか。それにこの格調の高さはどうだろう。雰囲気だけでいえば、去年の夏岐阜で見たアンフィリカスに匹敵する。うーむ、こんなものを私がもっていていいんだろうか。これはむしろ博物館にでも飾っておくべきものではないか。いや、じっさい私の家にはこれを置くべき場所がない。どこに置いてもまわりと調和しないのである。しかたがないのでとりあえず単独で机の上に置くことにした。さいわいトゲトゲ種ではないのであまり保管に神経質になる必要もない。


Ceraurus pleurexanthemus
Upper Ordovician
Walcott-Rust Quarry


これまでB級品や部分化石が主体だった自分のコレクションにこういうものが加わって、さてこの先いったいどうなるのか。いや、心配しなくても、これをきっかけにコレクションのレベルがいきなり上がるなんてことは考えられない。だいいちそんなことは私の懐具合が許さない。私はこれまでどおり安価な標本中心の、片隅の化石愛好家にとどまるだろう。

世の中には極上の標本しか集めない人がいる。そのコレクションは当然ながらすばらしい。しかしもし自分がそういうコレクションをもっていたとしたらどうだろう。たぶん息苦しくてやりきれないのではないか。濁った水にしか棲めない魚がいるように、私も下世話な環境でないと息がつけないのだ。

というわけで、たまの贅沢は、ともすれば惰性に流れがちな蒐集という趣味に活を入れてくれるスパイスのようなものだと思うことにしよう。