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キファスピス・ケラトフタルマ

記念すべきアイフェル産の第一号。キファスピスという種類はあまり好みではないのだが、まあ初回だし、様子見にはいいんじゃないか、ということで買ってみた。灰白色の母岩に淡いベージュ色で保存されていて、注意深く眺めればその保存状態はけっしてわるくない。

Cyphaspis ceratophthalma


とはいうものの、ぱっと見た感じではやはり干からびた標本という印象は否めない。立体感を保ちながらも全体が斜め方向に圧されているので、前から見ると45度にひしゃげている。あとから来たアイフェル2号(ゲーソプス)と比べると、あらゆる点で対照的で、とても同じ産地から出たものだとは思えない。

見る人によっては価値のない、お粗末な標本に思われるかもしれないが、私にはアイフェル2号と比べてもそれほど遜色があるとは思えないのである。というか、ここまで共通点のない標本の場合、ふたつ並べて優劣をつけること自体が無意味なのだ。「みんなちがって、みんないい」というのはこういうときに使うべき言葉ではないかと思う。

図鑑やネットを見ると、本種は黒っぽい色で保存されることが多いようだが、信山社の「世界の三葉虫」に出ている画像のものは白っぽくて、たぶん私の買ったのと同じタイプだ。



同文書院の「化石探検」という本に、「順序なく並んだ肋骨に似た姿を岩の上に止めている三葉虫」という文がある。書いているのは福田芳生氏だが、たしかに白っぽく保存された三葉虫は白骨に似ている。


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アイフェル(ゲース)産の三葉虫は、本種とゲーソプス・シュロートハイミ、それにゲラストス・クヴィエリの三つが代表種で、これだけ揃えればだいたい格好はつく。ゲラストスはプロエトゥスの一種だから、これを手に入れたら念願のプロエトゥス類が同時に手に入ることになる。

ゲラストスといえばモロッコ産が一般的で、状態もよく値段も安い。そういうものには目もくれず、より状態がわるくて値段も高いアイフェル産を求めるのはどう考えてもまともではないが、蒐集という趣味はどうもこんなふうに脇道へそれていく傾向があるようだ。