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ネオメタカントゥス・ステリフェル

アイフェル2号のゲーソプスはどうやらモロッコ産のようだ。そこで今回買ったネオメタカントゥスが事実上のアイフェル2号になる。ネオメタカントゥス。なかなかカッコいい名前ではありませんか。まあ名前の詮議は後回しにするとして、とりあえずどんなのかといえば──


Neometacanthus stellifer


ご覧のとおり部分化石で、しかも小さい。幅12mmほど。第4胸節以下は失われているが、完全体だったとしても18mmあるかないかだ。この小ささで、しかも状態のあまりよくない部分化石となると、さすがにちと厳しいものがある。私をこの標本につなぎとめているのは、アイフェルという歴史的産地への興味だけだ。

本種はアカステ科アステロピゲ亜科に属するが、こうして頭部だけ眺めていると、ダルマニテス科の三葉虫(オドントキレなど)にもよく似ているし、さらにいえばこの前買ったカリオプス(プテリゴメトプス科)にさえ似ていなくもない。けっきょくのところ、アステロピゲの仲間を特徴づけているのは尾板まわりのトゲなので、これを欠いている今回の標本が物足りなく感じられるのは当然なのである。

まあいい、この物足りなさは別のもので補うしかないだろう。別のものというのは、最近の私のひそかな戦慄になっているグリーノプスだ。ネオメタカントゥスとグリーノプスだけでアステロピゲ亜科を代表させてしまおうという心づもりなのである。


     * * *


本種については、ブルマイスターが1843年に Phacops stellifer という名前で記載したのが最初で*1、それを受けて1847年にハウレとコルダが Metacanthus stellifer の名前で再記載した*2。しかし Metacanthus という属名はすでに1843年にとある昆虫に与えられていたので、その後およそ一世紀にわたって、昆虫の Metacanthus と三葉虫の Metacanthus とが共存(?)していたことになる。1948年になってようやくドイツのリヒター夫妻が Neometacanthus と改名し、長年のいびつな関係に終止符が打たれた。

ブルマイスターのすばらしいページを紹介しておこう。右下の小さいのが本種だ。胸部は見つからなかったので空白になっている。ハウレとコルダにも胸部の記載はない。



*1:三葉虫の体制」Die Organisation der Trilobiten

*2:「プロドローム」Prodrom einer Monographie der boehmischen Trilobiten