読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

タバコの奴隷から化石の奴隷へ

三月に風邪をひいて以来、どうも喉のイガイガがすっきりしないので、タバコをやめることにした。タバコが原因かどうか、それはわからないが、喉の不調にタバコがいいわけはないので、これを機に禁煙に踏み切った次第です。

最初の三日がつらいとみんな口をそろえていうが、私はそんなでもなかったね。禁断症状らしきものは出なかった。そのかわり、いつまでたってもタバコに未練が残る。未練というのは激烈な感情ではない。なんとなくめめしい、あとを引くような、しめっぽい感情ですね。そんなものは吹っ切りたいが、これがなかなか……

職場ではとくに問題ないんですよ。他人が吸っていてもあまり気にならない。移動中の車中で吸わないのももう慣れた。問題は帰宅してからだ。台所という、喫煙に特化した(?)空間が非常に危険なのである。ここにあるものは、程度の差はあれ、どれもこれも喫煙の思い出に結びついたものばかりだ。この結びつきを解きほぐすのが目下の急務なのだが、さてどこから手をつけるべきか。

タバコを吸いながら読むちょっとした本とか、ふと浮んだアイデアを書き留めるノートや紙切れ、それに辞書などを一掃して、純粋にものをこしらえて食べるだけの空間に戻す。卓上からいっさいのものを取り除き、ヤニで汚れた換気扇や窓を掃除する。ついでにゴキブリが出ないように水回りを掃除して、コンロもていねいに清める。

これだけやって、環境面での影響を最小に抑えるとともに、心理面でのケアを画策する。なんといってもタバコを吸わないことで開けられた心の穴は小さくない。この穴をふさぎ、なおかつそれが心理的、生理的に快感になるような、そういう詰め物はないものか。

鉱物の世界にはパワーストーンなるものがある。オカルト的なものに結びついた一種の信仰だ。これらの石が何に効くのか、ほんとに効くのか、それはわからない。わからないけれども、たとえば今回のような場合に効果を発揮してくれるなら非常にありがたい。鉱物を眺めることがタバコを吸うことと同等の心理的効果をもたらしてくれるのなら、願ってもない話ではありませんか。

さらに一歩を進めて、これを化石で代用するわけにはいかないか。

ここに私にとって非常に心強い文章があるので、ちょっと引用してみよう。

三葉虫の効能とパワー
三葉虫は化石として独自のストーンパワーを持っています。これについて記述している本は少ないのですが、アメリカのメロディ女史その他の資料を参考にすると、そのパワーは大体次ぎのようにまとめられます。
(1)精神的な側面 指導性と責任感を発現させ、気力と忍耐力を増強する。
(2)感情的な側面 人間愛と慈悲心を目覚めさせ、心に安らぎを与える
(3)肉体的な側面 眼の疾患と視力不良の治療、ビタミンなどの栄養不足の改善
(4) 運勢的な側面 理想的な進路を指示して、目標達成を補佐する
三葉虫は争いのない平和な生活を営むことによって数億年も栄えることが出来ました。その化石からは、穏やかなエネルギーが放出されていますので、室内の身近なところに置いてそのパワーを受け取るようにして下さい。

引用元:三葉虫 - えちご弘文堂

ニコチンの代用になるとは書いていないが、そこはわれわれの想像力(物質的想像力?)で補うことができるだろう。