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鬼が笑う話

2016年が暮れようとしている。来年はいよいよロシア三葉虫が解禁になるのだ。なんと、わくわくする話ではあるまいか、と気分の高揚を抑えきれないが、さてじっさい何が欲しい? と訊かれたら、答えにつまるのですな。そりゃまあ欲しいものはいくつもある。スコトハルペス、メトポリカス、パンダスピナピガ、はてはニエシュコフスキアなんていう、名前をきくだにゾクゾクするような三葉虫はいくつもある。しかし自分に手の届く範囲で、さて何を買うかとなると、意外にその数は限られてくる。限られてくるどころか、ほんの二、三種しかないんじゃないかという気がする。

その二、三種をあげてみようか、と思ったが、来年のことをいえば鬼が笑うというし、取らぬ狸になってもつまらない。

まあことが順調にすすんで、その二、三種を手に入れることができたとしよう。これで私のロシア三葉虫探求が終るかといえば、たぶんそんなことはない。先へ行けば行くほど新たな眺望が開けてくるのがこの世界の常なのだ。

SPPLとMFが共同で出したロシア三葉虫の図鑑を眺めていると、ケルムスという異様な三葉虫が目についた。標本の写真はなく、ヴォルボルトの論文から抜いたイラストだけが出ている。写真も出せないほど稀少なものなのか、と思ってネットで検索してみると、あるところにはあるんですな。それも売り物になっている。ほほう、と思いつつ値段をみると、に、にひゃくごじゅうまんえん!?

ちなみに大きさは15㎜ほどらしい。

これをバカバカしいとみるか、すばらしいと思うか。

いまの私は前者だが、いずれ後者に傾くときが必ずくる。そうでなければ嘘だと思う。ロシア三葉虫探求とは、つまるところ15㎜の虫の化石に250万円をはたいて悔いない境地にいたるまでの長い長い道のりなのである。


(追記)
あらためてよくよく見たら、25万円でした。そりゃそうですよね……
桁をまちがえても気がつかないところに、私の病みっぷりがあらわれてますね。