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コレクションの方向性

どうも私はいいコレクターにはなれないみたいだ。もうそれは諦めた。そんならコレクションをやめるかというと、そんな気はいまのところない。ものを集めるのは楽しいことだ。その楽しみを放棄するつもりはない。

ではどうするか。その前に、自分がどういうものを集めたがっているか、考えてみよう。

私がものを集めるに際して重要視するのはただ一点のみ。それは「魅力があるかどうか」にかかる。魅力といっても漠然としているから、もう少し具体的にいうと、

1.それを眺める楽しみ
2.それを所有する喜び

この二つの愉悦がいつまでも失われず、それどころかいや増しに増してくるような、そういうオブジェが私にとって「魅力的」なのである。見た瞬間に「すごい!」と思っても、そのうち飽きてしまうようなのはダメだ。派手なもの、奇異なもの、鬼面人を驚かすていのもの、そういうのは刺戟がつよいぶん、飽きるのも早い。高い金を出してトゲトゲ三葉虫やアンモライトを買ったものの、意外に早く熱が冷めてしまった人も少なくないのではないか。

魅力の有無には、価格の高低や稀少性も少しは関係するかもしれないが、それらはおそらく本質的でない。たとえばロシア三葉虫ではありふれたアサフス・エキスパンスス。これの標本にどれほど深く魅了されているか、自分でも意外な気がするくらいだ。私が次に買うロシア三葉虫は、たとえ高額の稀少種だったとして、はたしてこのアサフスレベルの魅力をもちうるだろうか?

ところで、この魅力の有無は、購入して手元に置いてみるまでは分らないのである。もちろん気に入らないものは買わないので、買ったという時点ですでに気に入りなのは確かだ。しかし、その愛着が持続するかどうかはある程度の時間が経たないとわからない。ものによっては数時間で熱の冷めるものもあれば、数ヶ月、数年と保つものもあるだろう。

買ったものの、愛着が持続しないものはどうするか。さらに時間が経って、また愛着が湧いてくるのを待つか。しかし私の経験上、いったん愛着を失った品がふたたび魅力を盛り返してくることはまずない。よほどのことがないかぎり、いったん切れた絆がふたたび繋がることはないので、そういう事物はなるべく早く身辺から遠ざけた方があらゆる意味で得策だ。オブジェのほうにしても、気に入らぬ主人のもとを去って、新たな持主にかわいがられたほうがいいだろう。

まあ、いずれにしても、こういう失敗を繰り返さないためにも、自分がどういうものは気に入って、どういうものは気に入らなくなるか、しっかりした見通しを得るのが大切だ。好奇心の満足というのも、ものを買うにあたって大きな契機になるが、たいていはそれっきりで、興味が持続することはない。それから、とくに欲しくもないが、値段が安いから、という理由で買うのもやめておくこと。あと、コレクションをしていると必ずマストアイテムというのが出てくるが、これも要注意だ。「これを持ってないとやっぱりカッコつかないしなあ……」 いや、だれに対してカッコつける必要があるのか。そんなのは真性コレクターの領分であって、自分のような仮性(?)コレクターには無縁のものと知るべし。