ディトモピゲ・スキトゥラ

テキサス州ブリッジポートのウルフマウンテン頁岩から産出したもの。この地の三葉虫は大半が小さいノジュールのかたちで産出するらしい。今回のものもノジュールを割って出たものだが、母岩がほとんど残っていないので、元々の産状は不明だ。外殻がよく残っていて、真ん中あたりではぜているので、つい「いかり豆*1」を連想してしまう。


Ditomopyge scitula



テキサスはオクラホマのすぐ南に位置する州で、けっこうな数の化石を産出するようだが、三葉虫の産出ということになるとあまりぱっとしない。商業的な採取は行われていないようだし、種類も本種以外にはほとんど言及がない。北隣のオクラホマがあれだけ多種多様な三葉虫を産するのとは対照的だ。しかしそれだけにテキサス産というと私にはレア物扱いのようにみえる。これがもしテキサス産でなければ、買っていなかったかもしれない。

北米のディトモピゲ属にはいくつかの種があって、それぞれ別の名前で呼ばれている。しかし最近の研究によれば、それらはいずれも異名にすぎず、従来細分化されていた種類をディトモピゲ・スキトゥラに一本化しようという動きがあるようだ。まあ、風化して外殻もろくに残っていないような部分化石をもとに記載が行われている場合も少なくないようなので、こういった見直しは必要だと思うし、異名を整理してすっきりさせるのはいい傾向だと思う。

本種はもともと Meek と Worthen によって Phillipsia (Griffithides) scitula として1865年に記載されたというから、ずいぶん前から知られていた三葉虫ということになる。石炭紀後期に現れて、ペルム紀前期まで存続していたらしく、プロエトゥス類のなかでももっとも息の長い種類だった。テキサスのディトモピゲは他産地のものより大型化したらしい。今回の標本も3㎝近くあって、プロエトゥスにあるまじき(?)貫禄を示している。



*1:ビールのつまみにする揚げた硬い豆