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腕足類と三葉虫と蘚苔虫のコラボ

三葉虫には ventral(裏彫り)というクリーニング法がある。その名のとおり、腹側から母岩を取り除く方法で、背側からのクリーニングほど一般的でない。これが行われるのは、たとえば付属肢つきの標本、ニューヨークのトリアルツルスやブンデンバッハのコテコプスのような種類、それから重複板の構造がよくわかるアサフス類、あとケイルルスのうちでも平べったい形状のケラウルスなどに限られる。

「ニューヨークの三葉虫」をみると、裏彫り標本に特徴的なものとして、apodeme(s) という構造の説明がある。読んでもあまりよく分らないが、これは appendifers とも呼ばれるように、付属肢と本体とをつなぐ筋肉の付着部分のようだ。背側の軸溝(凹)に対応する、腹側の出っ張り(凸)で、これの発達程度によって当該三葉虫生活様式の一端を垣間見ることができるらしい。

さて今回、カナダのケラウルスの裏彫り標本を手に入れたので、その apodemes を確認するつもりで眺めてみたが、どの部分がそれに当るのかよく分らなかった。もうちょっと状態のいい標本なら、はっきり分かるのかもしれないが……まあそれでも、トゲの裏側にある溝や、梯子状に並んだ骨格の仕組みが確認できただけでもよしとしよう。





今回の標本のおもしろいところは、全体の構図がなんとなく人体の解剖図に似ていることだ。三葉虫の胴体を人間の肋骨に見立てると、腕足類が頭、コケムシの群体が手足の骨に見えてくる。左側に単独で置かれたコケムシなどは、まるで大腿骨の模型のように見えはしないか?



ヴェサリウスの解剖図譜より