カリメネについて

みなさんはカリメネがお好きですか? 私は大好きですよ~

というわけで(?)、今回はカリメネのお話。まず大御所フォーティの意見を聞いてみよう。

「カリメネは多くの人から典型的な三葉虫とみなされている。……シルル紀の地層で最もふつうに見つかる三葉虫の一つで、古い歴史をもつウェンロック地域で発見された。……ウースターシアのダドリーの町では、一八世紀および一九世紀に栄えた採石場から、何万という美しく保存されたブルーメンバハのカリメネ(カリメネ・ブルメンバキイ)が産出した。気の利いたコレクションであれば、かならずこの標本が一つか二つはあるはずだ。それらは妙に人を満足させる代物で、手のひら大で、ふっくらとし、まぎれもない根源的な魅力を発散している。……」(「三葉虫の謎」pp.113 - 114)

このダドリー産のカリメネ(通称ダドリーバグ)が模式種になっているのは、たんに最初に発見されて研究されたという歴史的偶然によるものだが、形態的にも模式種になりうるだけの条件を備えている。というのも、あらゆるカリメネのうち、これがいちばん過不足のない形をしているからで、よくいえば黄金の中庸、わるくいえばこれといった特色がないのである。カリメネにおけるミスター平均は間違いなく本種であろう。


Calymene blumenbachii

Society Logo – BCGSより)


さて、フォーティは本種について、胸節は12あると書いている。いっぽう、原記載者であるブロンニヤルの論稿をみると、胸節は14とある。どっちが正しいのか? ネット上の画像で確認すると、どうも13個が正しいような気がするが、私の数え方がまちがっているかもしれない。北米産のカリメネに関しては、どの種類も13個ということで決着がついているようだ。

胸節の数なんてどうでもいいじゃないの、という声もあるだろうが、私は気にする方だ。フェイクをつかまされないように用心しているうちに身についてしまった習性かもしれないが……

あと余談だが、カリメネという名前はブロンニヤルの創案にかかるもので、ギリシャ語の kekalymene(隠されたもの、知られざるもの < kalypto)の前綴り ke を省略したものらしい。初期の三葉虫の名前は、アサフスもパラドキシデスもアグノストゥスもみな「得体のしれないもの」という意味のギリシャ語由来なのがおもしろい。

ついでに、1750年の「哲学紀要(Philosophical Transactions)」に出た、史上初のカリメネの画像を紹介しておこう。もちろんダドリー産の C. blumenbachii である。




カリメネといえばダンゴムシのように丸まった姿勢のものがよく見られる。これについてフォーティはこう書いている。

「私は、学校の生徒たちが手のなかで四億年以上の歴史の重みを実感できるように、丸まったカリメネを彼らに手渡しさせていくのが好きだ。そのような実物とのかかわりは一回で、10本のビデオよりも価値がある。……」(前掲書、p.114)

私もドロトプスの丸まったのを手にもったときは、手の細胞がなにかを感じ取ったような気がしたが、あれが歴史の重みというものだったのか……


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カリメネの種類の違いはおもに頭部に現れている。とくに頭鞍のコブの大きさや形、溝の切れ込み具合などが識別の重要なポイントになるらしい。おおざっぱにフレキシカリメネとディアカリメネとの見分け方が書いてあるページがあるので紹介しておこう。

この piranha さんがあげている図が非常にわかりやすい。頭の前の「吻」の部分に畝がついているかどうか、頭鞍の二個目のコブが固定頬の張り出しに接しているかどうか、が決め手のようだ。