トリメロケファルス・カエクス

眼のないファコプスとして一部では有名な(?)トリメロケファルス。ドゥクティナとよく似ているので間違えやすいが、ドゥクティナは頭部がすっぺりと滑らかなのに対し、トリメロケファルスの頭部は細かい粒々で覆われている。


Trimerocephalus caecus (L:25mm)



この標本はこれまでネットでさんざん目にしてきた。あるときは正価で売られ、あるときはオークションにかけられ、あの手この手で売りに出されたが売れず、けっきょく私のところへやってきた。なんとなく売れ残り品を引き取ったような格好だが、たぶんそれでよかったんだと思う。

産地はポーランドの Holy Cross Mountains とのこと。この Holy Cross Mountains(訳せば聖十字架山?)という名前の響きがカッコよくて、ずっと前から気になっていた。

SSPの「世界の三葉虫」には、ポーランド産の三葉虫について、次のような記述がある。

「じっさいのところポーランド産の三葉虫の極上のものはすべてポーランドの南西部、チェコとの国境に近い Holy Cross Mountains で採取される。ここにはすばらしいカンブリア紀の露頭があり、またシルル紀デボン紀の地層があって、みごとに保存された三葉虫が産出する」

今回のものも、画像ではなんとなくクシャクシャした、保存のよくない標本にみえるかもしれないが、そのプレップ技術はなかなかのものだ。母岩、仕上り具合ともども、デボン紀オクラホマのものによく似ていて、もしかしたらボブ・キャロル並みの名手が手がけたんじゃないかと思ってしまう。