ロンコドマス・ドラマケンシス

ガーヴァンときくと、どうしてもアラン・ドロンの声で「ガーヴァン、セレレゴーンスドロンモデアム」というのが脳内で再生されてしまう(古すぎて通じない?……)。

まあそれはそれとして、念願のガーヴァン産の三葉虫を手に入れた。暗灰色の石灰岩に、暗褐色で保存されたロンコドマス・ドラマケンシス。コンパクトのように二つ折れになっているが、いちおう胸節や尾板は備わっている。大きさは横幅約20㎜。


Lonchodomas drummuckensis



そういっても、もちろんこれは自慢できるしろものではない。というのも、この標本には痕跡もないが、本来ならば頭の先に一本、両方の頬角から二本、鞭のような長いトゲがしゅっと突き出ているのだ。このトゲがロンコドマス特有の優美さを醸し出しているので、トゲのない二つ折れのロンコドマスなどは、いくらガーヴァン産とはいえ、たいして魅力的な存在ではない。

ではなんでそんなものを買ったのか?

それはですね、やっぱり音にきくガーヴァンの三葉虫の、雰囲気だけでも味わいたいじゃないですか。私の買うのはたいてい標本の標本、つまりメタ標本なので、今回のものも「『ガーヴァン産の三葉虫の標本』の標本」のつもりで手に入れた。

その程度ならば、写真で見ていればいいんじゃないの、という意見もあるだろう。たしかにそうだが、写真だけでは伝わらないもの、たとえば質感だとか手触りだとか匂いだとか、そういうものも標本の大切な要素だと考える。


M. A. Hope, "Girvan Fossils" より


この画像をみると、やはりモロッコのアンピクスとは違うし、ロシア産のロンコドマスとも違っている。いちばん近いのはオクラホマのロンコドマスだろうか? いずれにしても、こんなに状態のいいものはこの先何年待っても手に入らないだろう。