クルジアナについて

三葉虫関連の生痕化石に、クルジアナというのがある。これはほうぼうで出るらしく、いろんな形状のものがある。これとはべつに、ルソフィクス、ディプリクニテスというものがあって、われわれの興味をそそる。

とはいっても、そういったものの化石を買おうという気にはなかなかなれない。なぜなら、買ってもたぶんよく分からないからで、画像をみても、地面の上にちょこちょことなにか引っ掻いたような跡が残っているな、くらいの感想しか出てこない。要するに、私に見る目がないのである。

さて、今回まとめ買いしたレプリカのうちに、このクルジアナらしきものが入っていた。







調べてみたら、クルジアナのうちでも cruziana semiplicata と呼ばれるものらしい。産地はウェールズのカンブリア系。

三葉虫が泥に埋まりながらせっせと脚を動かして、泥中の有機物を摂食しつつ進んでいくと、そこに三葉虫の足跡が残る。それに堆積物が溜り、やがて固まって岩になる。これがクルジアナで、もともと三葉虫がつけた足跡とはちょうどネガポジの関係になっている。そこで、クルジアナを型にとってもう一度キャストを作ると、それが三葉虫の足跡のポジになる。ややこしいが、少なくとも頭の中でそういう操作をしないと、クルジアナを見てもどういう状況でこうなったのかが理解しにくいと思う。下図を参照のこと。


spor 20より


クルジアナの作者がほんとうに三葉虫かどうかには疑問があって、もっとべつの、蠕虫みたいなものがつけた跡だとか、いろいろ説はあるらしい。じっさい、クルジアナと三葉虫が同じ場所で見つかることはめったにないらしく*1、それならやはり硬い殻をもたない、つまり化石として残らない蠕虫みたいなのがつけた跡だとするほうが自然だろう。自身の遺骸は残さず、生きた痕跡だけ残すというのは、なかなかクールなやり方だと思うのだが、どうか。

*1:上の図の右にあるくねくねしたサーキットのようなクルジアナの作者は、Maladioidella という三葉虫でほぼ決まりのようだが