ファコプスの館 -La Maison de Phacops

化石ヲ蒐集シナイ日記

蒐集しない蒐集家

停滞が長引いている。こうも長引くと、もう停滞自体がひとつの状態、というか常態であって、いままでの熱に浮かされたような状態が異常事態だったのではないか、という気がしてくる。

現在の自分の蒐集の位置を地質年代に当てはめていえば、だいたいデボン紀に入ったあたりかなあ、と思っていたが、もう石炭紀をとうに超えて、ペルム紀に突入しているのかもしれない。そして、三葉虫に関していえば、ペルム紀の先はないのだ。

これまでのおもなエポックを考えてみる。初期の模索時代、モロッコ時代を経て、パラドキシデス革命があった。まずここでカンブリア紀が終了。

それからMF祭りがあった。これが足掛け二年ほど続いて、蒐集のオルドビス紀を現出したが、MFが去るとともにオルドビス紀も終了。

次はおそらくロシア中心時代になるはずだったが、期せずしてもちあがったレプリカ問題のため、これまでの流れが断ち切られ、シルル紀終了。これでデボン紀に突入かと思いきや、いきなりペルム紀あたりにまで飛ばされて驚いた、というのがいまの状態。

というわけで、蒐集方面はお寒いかぎりだが、三葉虫自体に対する関心が失せたかといえば、そんなことはない。それは意外にしぶとく残っている。ただ、蒐集をともなわない関心がどれほど長続きするか、そもそもそういうものが存続するのかどうか、それはわからない。しかし、先のことはともかくとして、この関心が持続するかぎり、私は三葉虫人間(trilobite person)であることを辞めないだろう。

かつてベンヤミンに熱中していたころ、遊歩しない遊歩者、蒐集しない蒐集家というものを考えて、自分はこれに当てはまるんじゃないかと思ったことがある。そしていま、現実にそういうものになりつつある自分を見出して、ついに人生の収穫期に入ったか、という感をつよくしている。