ダイフォンについて

待てば海路の日和あり。ぜったい入手不可能と思っていた本種を手にする日が来ようとは……*1 Deiphon barrandei 体長は 16mm と小さいが、幅があるのでけっこう大きくみえる。ダイフォンの模式種である D. forbesi がチェコで産出するのに対し、こちらは英国ウ…

ホプロリカス・プラウティニ

昨日、郵便屋さんから荷物を受け取ったとき、いやな予感がした。というのも、その小包のなかで何か重いものがゴロゴロと音を立てて転がっているのだ。もしやという気持と、そんなことがあるはずないという気持のせめぎ合いのうちに荷解きをしてみると──タッ…

三葉虫人間はどこにでもいる

「週間はてなランキング」とかいうのが目についたので見てみると、はてなブログでブックマークが何百とか、ものすごい数字が並んでいる。このあたりははてな村(今でも使われているのか?)の絶巓であり、極北である。自分のところと比べることさえおこがま…

化石や鉱物の手入れ

みなさんは標本につく埃はどうしてますか?自分はケースに入れて保管しているから、埃なんか気にしない、という方もおられるでしょう。まあそれはそれでかまいませんが、ケースに入れているからといって、埃が付着しないとはかぎらない。まったく、埃という…

グリーノプス・ウィデレンシス

「ニューヨークの三葉虫*1」という大判の本を飾る(?)何種類ものグリーノプス。その魅力的な画像を眺めながら、自分もいつかはニューヨークのグリーノプスを、と思っていたが、なかなかこれといった標本が見つからない。上記の本のすばらしい画像を見てい…

コルポコリフェ・ルオーティ

某氏のブログに、複眼が保存されたロシアのアサフスの記事が出ていたので、手持ちのエキスパンススの眼をルーペで調べてみたが、個眼レンズなどひとつも確認できやしない。まあこれは仕方ないな、と思って、何の気なしにプリオメラ(同じくロシア産)の眼を…

スコトハルペス・スパスキイ

前から欲しかったがあまりの高さに手が出せずにいたもの。今回わりあい安価に買えたのはラッキーだったが、一般に出回っているものよりも一回り以上小さい(18㎜ほど)。このサイズのおかげでだいぶ安くなっているように思う(ふつうは25㎜ほど)。しかし本…

エッカパラドキシデス・プシルス

──あなたはレドリキア派? それともオレネルス派? ──パラドキシデス派です。分る人にしか分らないボケだが、こういう人は意外に多そうな気がする。レドリキアにもオレネルスにもあまり関心がなくて、パラドキシデスだけが好きっていうのがね。さて、今回手…

幻の三葉虫

信山社発行の「世界の三葉虫」(進化生研ライブラリー1)は、もう20年以上も前の出版物でありながら、いまでも新本で買えるところがすごい*1。内容は一部古びてしまっているところもあるが、その反面、今では入手しがたい種類や、出所の怪しげな珍品も紹介…

化石とブラックライト

ロシアン三葉虫といえば、修復がつきもので、たいていの標本には修復率何パーセントと書いてある。この数値が正しいのかどうか、かねてから疑問に思っていた。質的にも量的にも、何を基準としてのパーセンテージなのか、はっきりしませんしね。昔はこの修復…

ノルウッディア・ベラスピナ

ユタ州ミラード郡のウィークス層(カンブリア紀)の産。ユタ州は三葉虫の特産地ともいえるところで、ハウスレンジ(House Range)という名前を記憶している人も少なくないと思う。ウィークス層もそのひとつで、小粒ながら特色のある三葉虫を産するので有名だ…

オギギオカレラ・デブッキイ

今回取り上げるのはウェールズのオギギオカレラ。いちおうアングスティッシマ種とのことだが、やはりというかデブッキイ種の線が濃厚だ。まあ見た目はどっちもほとんどいっしょだからあまり気にすることはないのだが…… Ogygiocarella debuchii ローレンスと…

スフェロコリフェ・ロブスタ

私の長年(といっても二年ほど)のあこがれの的だったスフェロコリフェをついに入手。箱から取り出すときはちょっと手がふるえたかもしれない。現物はといえば、意外に大きいのに驚いた。もっと小さい、ハエ取りグモくらいのサイズを予想していたからね。心…

メドウタウネラ・トレントネンシス

終りそうでなかなか終らないMF祭り。振り返ってみれば、年末あたりから毎週ぶっとおしでえんえんとやってるんじゃないか。商品のほうもだんだん高額化してきて、しょっぱなから手の出ないものも多い。まあそんなのはハイエンドのコレクターにまかせるとして…

シュードキベレ・レムレイ

レムレオプス・レムレイ(Lemureops lemurei)という名前で出ていたもの。これはシュードキベレの一種で、おそらくシュードキベレ・レムレイと呼ばれているのと同一種だと思われる。 Pseudocybele lemurei シュードキベレの仲間はわりあい見た目の違いがはっ…

キファスピス・ケラトフタルマ

記念すべきアイフェル産の第一号。キファスピスという種類はあまり好みではないのだが、まあ初回だし、様子見にはいいんじゃないか、ということで買ってみた。灰白色の母岩に淡いベージュ色で保存されていて、注意深く眺めればその保存状態はけっしてわるく…

ケラウルス・プレウレキサンテムス

今年最初のヤフオクでの買い物がこれだが、現物を見たときは驚いた。これがあのケラウルスだろうか。まるでパラドキシデスのような凄みではないか。それにこの格調の高さはどうだろう。雰囲気だけでいえば、去年の夏岐阜で見たアンフィリカスに匹敵する。う…

ストロマトポラ

ストロマトポラはストロマトライト、ことにモロッコ産のそれに形が似ているが、もちろんまったくの別物で、現在ではスポンジの仲間に分類されている生物の化石である。ゴトランドでは多産し、土地の人々から「猫のしゃれこうべ(CATSKULL)」と呼ばれている…

ヘリオリテスの一種

ここ半年ほどのあいだにゴトランド産のサンゴ類の化石をいくつか手に入れたので、それらについて少し書いておこう。まず最初に手に入れたのがヘリオリテス(Heliolites)というもの。これは「太陽の石」という意味で、日本では日石サンゴと呼ばれているらし…

化石のバロック

私は手に入れた化石や鉱物はむきだしで並べて楽しむタイプなので、陳列棚は必要不可欠なものなのだが、しかし棚という限られたスペースはすぐにいっぱいになってしまう。むりをして詰め込んでも、あまりごちゃごちゃしているのは自分の美意識に反するし、な…

三葉虫の新分類について

2011年に出されたアドレインの新分類法。こちらのページにあがっているのがそれだが、これをざっと見て気づいたことを書いてみよう。まず第一にアグノストゥス目が消えてしまったこと。これまでもアグノストゥス類を三葉虫に含めるべきかどうかについて…

ケラトヌルスの一種

ディクラヌルスのあとはこれしかないでしょ、というわけで買ったのが本種。アイデンティティが揺らぐほど高い買い物だったが、これにはミラスピスの後押しもあった。というのも、ケラトヌルスはいろんな点でじつによくミラスピスに似ていて、ほとんど直系の…

企画展「三葉虫の謎 II」を見終えて

立松コレクションは2000種の標本からなっているらしい。標本2000種といわれてもあまりピンとこず、「もってる人はそれくらいもってるだろうサ」くらいの認識なのだが、これは2000という数字を少なく見積もりすぎることからくる。たとえば200…

椎野先生の講演(後半)

後半の論題は「外への平滑化」というので、外面の平滑な三葉虫の例としてハイポディクラノタス(Hypodicranotus striatulus)が採り上げられます。これは会場でも展示されていましたが、小さくて地味なので見過ごした方も多いのではないでしょうか。私も講義…

椎野先生の講演(前半)

立松氏につづいて椎野先生の講演がありましたが、これは私にはむつかしくてよく理解できませんでした。よく分らないなりに強引にまとめると──トゲや粒々を纏ったいかつい三葉虫とはべつに、イレヌスに代表されるような、つるっとした滑らかな三葉虫がいる。…

立松氏の講演

8月2日に行われた立松氏の講演「50年の軌跡~三葉虫の多様性とその美~」から。立松氏の化石蒐集のスタンスとして印象的だったのは、なぜ集めるのか、という問いに対して、「好きだから、楽しいから」という、単純ですが断固とした態度を持しておられる…

立松コレクションを見る

朝7時前に家を出て20時に帰宅。まさに圧巻の一言でしたね。もう自分で三葉虫を集めるのがいやになるほどの。種類でいえば、おそらくアメリカのものがいちばん多かったような気がします。あとはロシア種、モロッコ種が主で、ヨーロッパでは英国、ドイツ、…

ディクラヌルス・ハマートゥス・エレガントゥス

多くの三葉虫愛好家にとってディクラヌルスは特別な三葉虫だ、という話をよくネットで見かけるが、これがどうにも腑に落ちなかった。「そんなにいうほど特別かなあ、数あるとげとげ三葉虫のひとつにすぎないんじゃないの?」というのが正直な気持だった。と…

三葉虫の蒐集について

ヤフオクをみると、ロシア三葉虫の女王ことボエダスピスが出品されている。しかも最落なしのようだから、値段はどうあれだれかの手に落ちるのは確実だ。これにはさすがに嫉妬を禁じえない。どこかの金持が物珍しさだけでかっさらっていくのでないことを祈る…

プティコパリア・ストリアータ

以前パラドキシデスを手に入れたとき、年代がカンブリア紀中期、産地がボヘミアとしか書いてなかったので、「これはインツェ(Jince)層から出たものですか?」と購入元に問い合せたことがある。購入元というのはFっしるさんだが、そのときの答は「おそらく…